お旅所祭(おたびしょさい)
 お旅所には正面の一段高い所に若宮神の行宮(あんぐう)があり、その前に小高く約五間(9メートル)四方の芝舞台がある。その前には左・右に太鼓が据えられ、それをとり囲むように周囲に幄舎が設けられている。
 お旅所祭は午後2時30分頃に始まる。最後の大名行列のかけ声が、まだ参道にこだましているなかを神職が参進し、左・右のだ太鼓が鼕々と打ち鳴らされ、奏楽のうちに神様にお供え(神饌)が捧げられる。このお供えは、お米を青黄赤白に染め分けて飾る「染御供(そめごく)」という珍しいものなどである。
 続いて宮司が御幣を捧げ、祝詞を奏上してのち行宮の下に座を進め、神職が退いたあと日使の奉幣・祝詞があり、各種団体の代表、稚児や願主投、大和士などの拝礼がおこなわれる。
 このあと午後3時30分頃から神楽が舞われる。そして東遊(あずまあそび)・田楽(でんがく)・細男(せいのお)・猿楽(さるがく)・舞楽(ぶがく)・和舞(やまとまい)など、午後11時近くまで各種芸能が奉納される。まさに生きている芸能の歴史を目のあたりにするようで、けだし圧巻である。
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