神楽式(かぐらしき)
 神楽式とは、翁を略式にしたものである。翁は新年や大事な演能会・神事の能のはじめには必ず行われて、天下泰平を祈願する儀式である。
 常の翁はすべてがぎょうぎょうしいものであるが、この神楽式は、シテの翁と三番目三が白の狩衣(浄衣)に白の大口をはき、面はつけずに舞う。千歳は出ない。地謡や囃子方は裃を着、大鼓はなく小鼓は一丁になる。
 後見が最初に正先へ鈴を出し、囃子方と地謡が座に着いてから、シテの翁と三番三がある。三番三は翁返りのあとすぐ鈴の段を舞う。
 明治の初年、時の大夫金春広成が、金剛の大夫氏成と協議の上定められ、おん祭お旅所神前の特別な翁として現在に至っている。
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